夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
【ヴァロンside】
『夢か幻か。主人公が昔助けた、もうすでに亡くなっている筈の三毛猫が現れて、愛おしい女性の元へ導いてくれる』
俺が考えた、父さんの小説のラストシーン。
チリンッチリンッと鈴の音を弾ませながら走る三毛猫を追い、辿り着いた場所。
それは、俺がずっとずっと求めていた明るい里ーーー。
心の中で、薄い桃色の着物を纏った女性が、長い黒髪を風になびかせながら、大きな黒い瞳を細ませて微笑った。
チリンッ……!!
大きく鳴った鈴の音と同時に、夢のような、幻のような光景は消える。
……いや、消えない。
俺はようやく見付けたんだ。帰ってきたんだ。
たった一人の、運命の相手の元に……、……。
「ーーーアカリッ……!!」
庭園の中心にある噴水の前に、彼女は立っていた。
階段の1番下から名前を呼ぶと、さっきの心の中と同じの、全く変わらない笑顔が俺を迎えてくれる。
嬉しさを通り越して、涙が出た。
おかしいな。
俺が考えたラストシーンでは、ここで主人公がカッコいい台詞を言って、ヒロインに駆け寄って抱き締める筈だったのに……。ここまではシナリオ通りだったのに、本当のラストは、俺だけでは描く事は出来なかった。
きっとそれは、この物語が"俺と彼女"。二人の物語だからだ。
『夢か幻か。主人公が昔助けた、もうすでに亡くなっている筈の三毛猫が現れて、愛おしい女性の元へ導いてくれる』
俺が考えた、父さんの小説のラストシーン。
チリンッチリンッと鈴の音を弾ませながら走る三毛猫を追い、辿り着いた場所。
それは、俺がずっとずっと求めていた明るい里ーーー。
心の中で、薄い桃色の着物を纏った女性が、長い黒髪を風になびかせながら、大きな黒い瞳を細ませて微笑った。
チリンッ……!!
大きく鳴った鈴の音と同時に、夢のような、幻のような光景は消える。
……いや、消えない。
俺はようやく見付けたんだ。帰ってきたんだ。
たった一人の、運命の相手の元に……、……。
「ーーーアカリッ……!!」
庭園の中心にある噴水の前に、彼女は立っていた。
階段の1番下から名前を呼ぶと、さっきの心の中と同じの、全く変わらない笑顔が俺を迎えてくれる。
嬉しさを通り越して、涙が出た。
おかしいな。
俺が考えたラストシーンでは、ここで主人公がカッコいい台詞を言って、ヒロインに駆け寄って抱き締める筈だったのに……。ここまではシナリオ通りだったのに、本当のラストは、俺だけでは描く事は出来なかった。
きっとそれは、この物語が"俺と彼女"。二人の物語だからだ。