夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
アカリ様の事が好きだ。
だが、オレはそれ以上に兄上が好きで大切だ。
だから、二人が幸せにしていてくれるなら良かったんだ。
……それなに。
そう思っていたのに、あんなやましい妄想を見るなんてオレはなんて汚い奴なんだろうな。
苦笑いをしながら額に手を当てて溜め息を吐くと、ふと視線の先に映る人物。
さっきの女……。スズカが両手を胸元で握り締めながら、少し俯き気味で立っていた。
やれやれ。
あんな目に遭ってもまだ居るとは、本当に経験のない女は男を分かっていないな。
「……おい、早く出て行け」
オレの言葉に、女の身体がビクッと揺れる。
「正直、今は誰でもいい気分なんだ。
これ以上側にいたら……襲うぞ?」
脅すようにワザと普段よりも低い声色で言い放った。
悪い男を演じて逃げるように仕向けてる?
本当は優しい男?
違う、そんなんじゃない。オレは捻くれてるからな。
正直、今は思いっきりやれて楽しめる女を相手にしたかった。絶対に一回なんかじゃ足りない。
経験のない処女相手に、気を遣ったセックスなんて御免だっただけだ。