夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
さっさと退室してもらい、一晩相手してくれる面倒じゃない女を呼ぼうーー。
そう思った矢先だった。
「っ……嫌、です」
震えたか細い声がした。
嫌、と逆らう言葉が聞こえた気がしたが、まさかこの大人しそうな女に限ってそれなない、と耳を疑い「なに?」と聞き返す。すると……。
「私が今出て行けば……アラン様は別の女性を、ご所望に……なるのですかっ?」
この女は、何を言っている?
「っ……それ、ならば……嫌です」
嫌、だと?
オレが別の女を望むのが嫌だと?
……この女は、何が言いたいんだ?
女が逆らう意味も、言葉の意味もオレには不明だった。
問い掛けるのももはや面倒に感じて眉間にシワを寄せて鬱陶しそうに見ると、女はゆっくりとオレに歩み寄って来て見上げながら言った。
「私を、夜のお供に……して、下さいっ」
「……。あ?」
「私の容姿がお役に立つのならばっ……それでも、構いませんっ!」
その女の言葉に、オレは苛ついた。
ガッと女の顎を掴むとその苛々をぶつける。