諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
 * * *

「静菜」

 ――理人さんと公園へ行った夜から数日後の土曜日。仕事が休みで家にいた私を、廊下ですれ違った父が呼び止める。

「お父さん……。どうかしましたか?」

 私の父は厳しい印象はないが、どちらかというと寡黙な人で、同じ家に住んでいてもこうして話し掛けられることは珍しかった。

 そのせいか父と話すときは、いつも少し緊張した。

 家ではいつも着物姿の父が、両手を袖に入れて腕を組む。

「最近、よく理人くんと出掛けていると聞いた。仲良くやっているようだな」

 恐らく、母から聞いたのだろう。

 理人さんと会うときは帰りが遅くなるので、気を揉まないように母には必ず伝えるようにしていた。
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