諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「……ダメですか?」

 私は窺うような上目遣いで問いかける。すると、頭をガシガシと搔いた理人さんが重たい息を吐いた。

「もともと帰る気なんてさらさらないんだろ」

 不貞腐れたように言う彼に、私は大きく目を見開く。

「じゃあ……――」

「勝手にしろ。ただ、変なことしたら夜中でもかまわず叩き出すからな」

 理人さんはそう告げると、勢いよく顔を背けた。

 嬉々として「はい……!」と答えた私は、胸の膨れるような心地良さを感じる。

「いつもいつも、お前のその行動力はどこから来るんだか」

 私は、遠くを見つめて嘆く理人さんに笑顔を向ける。

「理人さんへの愛に決まってるじゃないですか」

 少しの間不満げに口をへの字に曲げ、こちらを見つめていた彼は、

「気持ち悪いことを言うな」

 と放って私の額を軽く小突いた。
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