諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「あと、うちに予備の布団なんてないからな」

 取り澄ました面持ちで告げる彼に、私は当惑する。

 ……半ば勢いで飛び出してきたので、寝具にまで考えが及んでいなかった。

「あの、リビングのソファーを借りてもいいですか? なんでもいいので掛けるものさえあれば、今日はあそこで寝ます。布団は明日買いに行くので」

 リビングにあった黒のL字型のソファーは、大人でも十分眠れそうなくらい大きかった。

「用意しておくから、お前は風呂にでも入って来い」

「お、お風呂ですか?」

 いきなりお風呂なんて心の準備が。

 ひと回り大きな声を上げた私に、理人さんが限りなく冷たい眼差しを注ぐ。
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