諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「安心しろ。お前の湯上り姿なんて見たところでなにも思わないから、馬鹿なことを考えてないでさっさと行け」

「……はい。お借りします」

 キャリーケースから着替えや洗面道具を手に持った私は、理人さんに教えてもらい、リビングを出てひとりとぼとぼとバスルームへと向かう。

 あんなにきっぱりと言わなくても。もともと女性として見られていないのはわかっていたけれど、ああも突きつけられるといささか傷つく。

 脱衣場で着ていたニットに手をかけた私は、脱ぎかけて動きを止めた。

「私は、理人さんといるといつだってドキドキしているのにな」

 それは、誰もいない空間で静かに響いた。
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