諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~

 ――その日の夜。

 お風呂も寝る準備も済ませ、暗い部屋で理人さんの帰りを待っていた私は、玄関のドアが開く音がして、どきりと心臓が止まった心地になった。

「おかえりなさい」

 私はソファーから立ち上がり、リビングに入ってきた理人さんに声を掛ける。

「なんだ。起きてたのか。寝てろって言っただろ。それに電気もつけないでなにを――」

 理人さんが驚くような声色で言った。電気をつけられ、温白色のライトが私の姿を照らす。

「お前……どうしてタオルなんかに(くる)まってる」

 理人さんは、訝しげな表情を浮かべていた。私は緊張から乾いた喉で生唾を飲み込む。

「ちょっと、こっちに来てください」

 うつむき加減に告げる私に異変を感じたのか、カバンとコートをダイニングの椅子の上に置いた理人さんが、言われた通りこちらにやって来る。
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