諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
 穏やかな幸せに、私は唇を綻ばせる。私が再び本に目を落とした瞬間、テーブルの上に置いていた私のスマートフォンが振動した。

 本を閉じて、スマートフォンを手に取る。画面は、父からの着信を知らせていた。

「……お父さんだ」

 私が呟くと、理人さんがこちらに一瞥をくれる。未だ震えるスマートフォンの画面をタップして、私は電話に出た。

「もしもし、静菜です。……えっ? はい。わかりました。すぐに行きます」

 早々に電話を終わらせた私に、理人さんが声をかけた。

「どうした」

「なにかはわからないんですけど、父が話があるらしいので、一度家に帰ります」

 内容は不明だが、父の話は、『話があるから、今から帰ってこられないか?』というものだった。電話ではできないということは、近状を確認したいというわけでもないだろう。

 父から直接掛かってくるなんて、なにかあったのかな。

 漠然とした不安が押し寄せて、私は顔を曇らせた。
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