諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「ここは……?」

 しばらくして理人さんが立ち止まった先には、一台のキッチンカーが停車していた。

「バインミー。ベトナムのサンドイッチの店だ。これなら外でも食べられるだろ」

 ――えっ?

 素っ気なく告げる理人さんは、【路地裏キッチン】ののぼりがついた、鮮やかな黄色のキッチンカーの方へ向かう。

 だから、ここへ連れてきてくれたの?

 キッチンカーに営業時間が二十時までと書かれているのが目に入り、彼が急いでいた理由も腑に落ちた。

 言いようのない嬉しさに頬が緩む。

 しかし、外にいたいと言ってひとつだけ後悔した。ここだと理人さんへの愛しい想いが溢れても、抱き締められない。

 メニューを眺めていた理人さんが、いつまでも突っ立っていた私を呼んだ。

「おい。早く来い」

 やっぱり私は、あなたの優しいところが好き。ふたりきりになったら、伝えたいな。
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