嘘恋のち真実愛
もしかしたら、なにも考えていなくて、急いで考えたのかも……そんなふうに思わせるような答え方だった。


「癒やし方はいろいろある。例えば、甘いものが食べたいのなら、ケーキやチョコを買うとか……緊張した体をほぐすためにマッサージするとか……でもね……」

「はい……なんでしょうか?」

「ゆりかのことを知らないなと思ってね。ゆりかの好きなものとか、ゆりかの体質とか知らない」

「私も知らないことが多いですけど、そんなに知らなくてもいいのではないでしょうか?」

「やはり気持ちに温度差があるね」


征巳さんは、湯気がたっているコーヒーにミルクを入れた。軽く混ぜながら、切なさそうな顔で私を見る。

気持ちの温度差とは、どんなものなのだろう。今日をがんばって、乗り越えようとするのは共通の気持ちだろうし。

今日が終われば、知らないことは知らなくてもいいことになる。だから、ここでいちいち好きなものを教えあう必要もない。


「好きなものよりも、今は成功させることを考えたほうがいいと思います。成功するように最終確認しますか?」
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