嘘恋のち真実愛
「こんなに何から何まで買ってもらって、いいんですか?」

「俺が頼んだことだから、気にせず受け取って。それにしても、よく似合っている。ゆりか、かわいいよ」

「へ? あ、それはどうも……えっと、ありがとうございます」


まさか『かわいい』と言われるなんて思わなく、あまりかわいいとはいえない反応をしてしまう。

会食時間は、二時間。今みたいにおかしな反応をしないよう気を付けなくてはいけない。平常心を保って、落ち着いて答える……うん、がんばろう。

征巳さんと指定されたホテルに行く。誰もが知っている高級ホテルに初めて入り、あちこち見回したいのを我慢して、 征巳さんだけを見た。

すべてにおいて落ち着いた様子で、行動しなくてはいけない。

二階にあるフランス料理店の入り口に行くと、「いらっしゃいませ、ご案内いたします」とスタッフが征巳さんの顔を見ただけで、奥の個室まで案内してくれた。

彼は利用したことがあると言っていたが、名乗りもしていないのに案内されることに驚く。

まだ征巳さんの両親は到着していなかった。私は、窓から庭を眺める。
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