嘘恋のち真実愛
征巳さんの両親が入室してきて、彼は私の肩に措いていた手を放した。スタッフによって、ドアが静かに閉められる。今、この空間にいるのは四人だけだ。

姿勢を正して、手を腹部辺りで軽く重ね、彼の両親に向き合った。


「紹介します。こちら、今同じ部署で働いている芦田ゆりかさん。彼女と結婚前提で付き合っています。で、こちらが俺の父と母」

「はじめまして、芦田ゆりかと申します」


ふたりの目をしっかり見て、頭を下げた。簡単すぎる挨拶だったかな?

少しでも自己アピールしたら良かったかも。


「はじめまして、征巳の父と母です。座って、話しましょう」


征巳さんのお父さんが着席を促すと、お母さんは静かにうなずいた。気難しいところがあると聞いていたけど、第一印象は穏やかそうな両親だ。

フルコースを頼んでいたらしく、前菜から運ばれてきた。

「美味しいね」と料理にたいしての感想を述べながら、和やかな空気の中で食べる。最後にデザートと紅茶が置かれて、やっと話題が私たちのことになった。

やはりただ食事をするだけでは、終わらない。


「征巳は、本当にゆりかさんと結婚するつもりなの? ふたりはどのくらいお付き合いしてるのかしら?」
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