嘘恋のち真実愛
気持ちを整理しようと、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出して、コップに注いだ。

そのコップを両手で包み込んで、再び窓から見える景色に目を向ける。

今日の征巳さんは優しくて、婚約者役が続いているのかと勘違いしてしまいそうになった。ご褒美だというから優しいのかもしれないけど、彼の表情が柔らかくて、心は揺れてばかりいた。

私、征巳さんを好きになりかけている?

さっき両手を広げる彼の胸に飛び込んだら、受け止めてくれただろうか?

理性が勝ったというか、戸惑いから踏みとどまったけれど。

どう考えても整理できそうにもない。天井を仰いでから、水を飲み干した。


「ただいま」


久しぶりに聞く言葉に「おかえりなさい」と振り向く。

えっ?

そこには私に、白い包装紙に包まれた一輪の赤い薔薇を差し出す征巳さんがいた。


「ゆりかが俺の部屋から出ていってから、ずっと考えていたんだ」

「なにを?」


さっきまでどう伝えようかと思いを巡らせていたけれど、まずは彼の思いを聞きたい。
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