嘘恋のち真実愛
さりげなく欲望をあらわにされて、私は薔薇を見ている状態で、目を大きく見開いた。

私も彼を喜ばせたい……と思う。でも、どう伝えたら喜ぶ?


「征巳さん……」

「 あ、それさ、花瓶に移そうか?」

「えっ? 花瓶……あ、ありがとうございます」


征巳さんが薔薇のほかに白い紙袋を持っていたことに、今気付く。紙袋の中身は、ガラスの一輪挿しだった。

そこまで用意してくれるとは、本当に抜かりのない人だ。私は花瓶も受け取って、薔薇を挿してから、テーブルに置く。包装紙に巻かれているのとは、また違う趣があった。

しみじみと薔薇を見つめてから、外を見る。日が落ちかけていて、青色からオレンジ色へのグラデーションの空が美しい。

きれいだ……。


「きれいな空だな」

「えっ、あ、はい! きれいですよね」


私と同じ気持ちを言われて、ハッとなったけれど、同じものを見て、同じように思うことがうれしくなる。

私は征巳さんに近寄って、彼の胸に手を触れる。鼓動を感じたかったからだ。

「ゆりか?」と、私の行動に彼は動揺した声を発した。
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