嘘恋のち真実愛
勢いをつけて力強く、続ける。征巳さんをもっと笑顔にしたい。


「私のためにと考えてくれているのが、ひしひしと伝わってきていて」

「ひしひしか……必死なのがバレているみたいで、恥ずかしいな」

「違います! バレるとかじゃなくて……えっ? 必死?」

「そう、必死なんだよ。ゆりかを俺のものにしたくて」

「ええっ!? あ、うっ、え、あ……」


今、俺のものと言った?

映画やドラマで聞いたことのある台詞だけど、実際に言う人がいるとは思わなかった。

もしや……これは、シナリオの中の台詞?

私たちの会話は噛み合っているのか、いないのか……私の伝えたい想いはまだ半分も言っていないのだが、遮られてしまった。

征巳さんは、私よりもせっかちなのかも。彼の胸に置いていた手から、鼓動の速さが伝わってくる。

ドキドキしているのは、私だけではない?

彼の鼓動を感じている手を掴まれた。


「ねえ、俺のものになってよ。偽りの婚約者じゃなく、本物の婚約者。ああ……いや、婚約者は飛ばしていいや……俺の嫁になって。結婚しよう」


彼は、やはり気が短いようだ。
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