嘘恋のち真実愛
ビックリするだろうとは思っていたが、放心状態になるほどだったかな?

私より一年先輩である新井さんが、鈴川くんの背中を叩いた。新井さんは、小柄ではあるけれど、意外にも力のある頼もしい女性だ。


「ほら、鈴川くんがもたもたしてるから、取られちゃったわよ」

「マジですか……俺の方がずっと長く想っていたのに……」

「だから、想っているだけじゃダメだと言ったじゃないの?」

「はあ……部長の顔、見たくないです」


鈴川くんはガックリと肩を落として、ため息をついた。今のふたりの会話からすると、鈴川くんは私に好意を抱いていたということ?

えっ……本当に?


「俺の顔は見なくてもいいけど、ゆりかに手を出すなよ?」

「ちょっ、征巳さん! そんな言い方をしなくても」


打ちひしがれる鈴川くんに、追い打ちをかけるようなことを言わなくてもいいのに……。

征巳さんをたしなめる私の前に、鈴川くんは立った。彼の目は真剣だ。私の肩を抱いていた征巳さんは、その手を移動させて、今度は私の手を握る。

鈴川くんはちらっと一瞬だけ征巳さんを見てから、私を真っ直ぐと見据える。
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