嘘恋のち真実愛
征巳さんが来たら、テーブル席に移ろうかなとも思っていたけど、彼が隣に腰を下ろしたからそのまま話す。


「お疲れ様です」

「うん。まだ頼んでいないの?」

「征巳さんを待っていたから……ちょっと、店長。顔がきもいですよ」


私たちが話している前で、店長がニヤニヤと楽しそうな顔をしていた。気恥ずかしくなり、つい悪態をつく。

店長は、征巳さんにお冷やとおしぼりを渡してから拗ねた。


「えー、ひどいな。ふたりが仲良くしているのを微笑ましく見ているだけなのに。今日はゆりかちゃんがいて、良かったね」

「ええ、まあ……」


歯切れの悪い返事をする征巳さんは、横目で私を見た。なんだろう?

なにか言いたげだけど、言いたくなさそうな感じ?

店長が「あ」と発して、征巳さんに謝った。


「ごめん! 言ってしまいました」

「えっ?」

「毎晩、ゆりかちゃんを待ちわびていたことを」

「えっ……言ったの? ゆりか、聞いたの?」


征巳さんは目を丸くして、店長と私に問う。私は頷き……店長は気まずそうな顔で、首の後ろを掻いていた。
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