嘘恋のち真実愛
与えられた役割に異論はなく、その後の打ち合わせはスムーズに進んだ。


「すみません、このあと来客予定があるので、先に失礼します」

「ああ、お疲れ様」


先に出ていく鈴川くんを見送ってから、部長と向き合った。一応ひと通りの話は終わったから、私も退席してもいいかな。

パソコンのディスプレイを閉じて、立つ。


「私も……」

「例の件で話があるから、座って」


例の件とは、あの彼女役の件よね?

オフィス内で話をされるとは思っていなかったけど、ふたりしかいない場所だからから?

座り直しながら、確認する。


「あの条件のことでしょうか?」

「そう、忘れていないよね?」

「もちろん忘れてはいないですが、依頼がないので必要なくなったのかと思っていました」

「必要になった。今日中にメールを送るから内容を確認して。来週の金曜日に決行してもらうけど、予定はどう?」


来週の金曜日……と予定を思い浮かべるよう顎に手を当ててはみるけど、仕事が終わってからの予定は、悲しいことに毎日なにもない状態である。


「予定はありませんので、大丈夫です。メールお待ちしています」

「よろしく」
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