嘘恋のち真実愛
「鈴川くんと仲いいよね?」

「いえ、仲がいいというほどではないです。仕事で話すだけですよ」


なぜ鈴川くんとの関係を聞くのだろう。鈴川くんとは会社で話す以外に話をすることもないし、仕事帰りにどこかに行くこともない。

鈴川くんに限らず、どの人とも同じように接しているつもりだ。ただ隣だから、一番話すことは多い。


「そう? 芦田さんが楽しそうに話すのは鈴川くんだけに見えたけど」


部長の言葉に私は、ぽかんと口を半開きにした。自分の様子を見られていたのが、意外だった。部長という立場上、部内の人間関係を認識しているのかもしれない。

きっと私のことだけではない……。

鈴川くん並みに人をよく観察していそうだ。

残っていた数人の人たちが、部長に向かって「お先に失礼します」と出ていく。再度フロア内を見回すと、私たち以外誰もいなくなっていた。

私もさっさと帰ろう。


「ところで、その内容に問題はない?」

「あー、はい。がんばります……」

「よろしく。頼りにしているからね」

「頼りにはならないかと思いますけど」
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