嘘恋のち真実愛
「なんで謝るの？ 毎日俺と同じように働いているのだから、そんなこと気にしなくていいよ。 一緒に暮らすことで、ゆりかに負担はかけるつもりはないからね」

「ありがとうございます。そう言ってもらえて、気分が軽くなりました」


征巳さんの気遣いのおかげで、心置きなく食べることができた。一品一品が、優しい味で美味しい。


「美味しいですね」

「うん。食材にもこだわっているから、ここの朝食は自慢できるんだよ」

「征巳さんが自慢するんですか？ 住民として？」

「えっ？ ああ……うん、そうそう、うん、そう。美味しい朝ごはんが食べれるところに住んでいるという自慢だね」


どうして征巳さんが自慢だというのか不思議になった。それと、珍しく歯切れの悪い返事にも違和感を覚える。

でも、こんな素敵なマンションに住んでいたら、自慢したくなるのは頷ける。数日住むだけでも自慢したくなるもの。

思いもよらないことから、婚約者役を要求され、同居まですることになったけど、貴重な体験ができたと思えば、悪いことばかりではないかも。
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