嘘恋のち真実愛
「雨が降ってきたね」
「雨……。いけない、傘を持ってくるの忘れました。どうしたら……あ、征巳さんの傘をちょっとだけ借りてもいいですか?」
「いいけど、どうするの?」
「傘を取りに戻ります」
雨が降るかもしれないと考えることを失念していた。
そろそろ梅雨入りしそうなのに、昨日も今日も晴れだったから、天気予報をチェックしていなかった。
「雨の中、行き来するのは面倒じゃない? 予報で降るのは午前中だけみたいだから、朝は俺の車で一緒に行こう」
「征巳さん、いつも車で出勤しているんですか?」
「そうだけど、知らなかった?」
「はい、電車通勤だと思っていました」
私たちの勤務する会社では、電車通勤を原則としている。車での通勤を希望する人は、自分で近隣の駐車場を契約しなければならない。電車代は交通費として支給されるが、駐車場代は会社に申請して承認されないともらえない。
高い駐車場代を自己負担する人は、ほとんどいなく、みな電車やバス通勤をしている。車で通勤している人は社長や副社長だけだと思っていた。
「雨……。いけない、傘を持ってくるの忘れました。どうしたら……あ、征巳さんの傘をちょっとだけ借りてもいいですか?」
「いいけど、どうするの?」
「傘を取りに戻ります」
雨が降るかもしれないと考えることを失念していた。
そろそろ梅雨入りしそうなのに、昨日も今日も晴れだったから、天気予報をチェックしていなかった。
「雨の中、行き来するのは面倒じゃない? 予報で降るのは午前中だけみたいだから、朝は俺の車で一緒に行こう」
「征巳さん、いつも車で出勤しているんですか?」
「そうだけど、知らなかった?」
「はい、電車通勤だと思っていました」
私たちの勤務する会社では、電車通勤を原則としている。車での通勤を希望する人は、自分で近隣の駐車場を契約しなければならない。電車代は交通費として支給されるが、駐車場代は会社に申請して承認されないともらえない。
高い駐車場代を自己負担する人は、ほとんどいなく、みな電車やバス通勤をしている。車で通勤している人は社長や副社長だけだと思っていた。