嘘恋のち真実愛
副社長のことを詳しくは知らないけれど、たぶん征巳さんと同じくらいの年齢。社長の息子ということもあって、若くして副社長職に就いている。
先に車から降りた副社長は、社内への入り口の前に立って、私たちのほうを見ていた。
征巳さんと一緒に出勤したのが、もしかしてまずかった?
「征巳、おはよう。そちらの人は、たしか営業部の方だよね?」
「おはよう。ああ、営業部の芦田さん」
征巳さんに紹介された私は、副社長に向かって「おはようございます」とお辞儀をした。
このふたり、ものすごく親しそうに話しているように見えるけど、どういった関係だろう?
私がふたりの関係に興味を持つのと同時に、副社長も私たちの関係に興味を示した。
「へー、征巳が女性社員と出勤してくるなんて、驚きだね? 付き合っているの?」
「雨だから一緒に来ただけだよ」
素っ気なく答える征巳さんに同意する形で、私はコクコクと頷く。副社長は彼の答えに納得できなかったのか、不審そうな目を向ける。
「雨だからって、あやしいな。天候に左右されるものなの?」
「彼女が傘を忘れたから、乗せただけだ。涼太、あまり詮索するなよ」
先に車から降りた副社長は、社内への入り口の前に立って、私たちのほうを見ていた。
征巳さんと一緒に出勤したのが、もしかしてまずかった?
「征巳、おはよう。そちらの人は、たしか営業部の方だよね?」
「おはよう。ああ、営業部の芦田さん」
征巳さんに紹介された私は、副社長に向かって「おはようございます」とお辞儀をした。
このふたり、ものすごく親しそうに話しているように見えるけど、どういった関係だろう?
私がふたりの関係に興味を持つのと同時に、副社長も私たちの関係に興味を示した。
「へー、征巳が女性社員と出勤してくるなんて、驚きだね? 付き合っているの?」
「雨だから一緒に来ただけだよ」
素っ気なく答える征巳さんに同意する形で、私はコクコクと頷く。副社長は彼の答えに納得できなかったのか、不審そうな目を向ける。
「雨だからって、あやしいな。天候に左右されるものなの?」
「彼女が傘を忘れたから、乗せただけだ。涼太、あまり詮索するなよ」