嘘恋のち真実愛
「この情報はマル秘ですか?」

「突然、ゆりからしくなったね。一部の人しか知らない情報だから、マル秘でよろしく」

「はい、かしこまりました」


謎が解けてスッキリした私は、昨日の重かった気分が一気に軽くなった。副社長の親族である征巳さんは私のような普通の生活をしている人間とは違い、いろいろと面倒なことがあるのだろう。

もしかすると、年齢的に愛のない結婚を親から要求されているのかも。だから、偽の婚約者で欺いて、反抗する必要があるとか?

彼の意図が見えてくると、協力してあげよう
、成功させようとやる気が出てきた。誰も入り込む余地がないくらいのラブラブさを見せて、ご両親が納得するよう、がんばろう。

気持ちが上向きになった私は、仕事に精を出す。


「芦田さん、昼休みになりましたよ」

「もうそんな時間?」

「はい。ずいぶん集中していましたよね。あ、企画案ですか?」

「うん、時間があるときにやってしまおうと思ってね」


来年の春に新シリーズが発売される。営業部社員は全員が企画案を提出要請されていて、締切は今月末だった。
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