ロストラブレター

「っっプファー!!」 

「司、毎回オヤジ臭いよ。やめなー?」お風呂上がり、牛乳パックを片手に、更に片手は腰に当てて飲んでいた所、お母さんが横目に非難した。

「それと」眉根を寄せ、こちらをジロリと睨む。「パックに口つけて飲むんじゃない!コップに入れなさい!これも毎回言ってるでしょうが」

口を拭い、「は〜い」とお母さんの小言を軽く受け流す。
もちろん、ここまでがテンプレートだ。
加えて今日は、大業を成し遂げた後なのでいつもよりもお母さんの小言が気にならない。

「ふふ」お上品に手を口に当て小さく笑う。思い出すだけで笑みが溢れてしまう。
半年間片想いしてきたが、やっと、今日想いを伝えられたのだ。返事はまだだし、もしかしたら振られるかもしれない。
それでも、胸につのるのは不安や鬱屈とした思いばかりではなく、暖かくてフワフワとした甘い感情だった。
気が早い、といったらそうなのだろう。でも、何十回と書き直した手紙を読んでもらえると思うとどうしても溢れ出る愛おしさや期待は抑えきれない。
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