俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「ちょっと待ってくれよ。考えてくれ?何で薫がわざわざそんな嘘をつく必要があるんだよ。だって…!」

「………」



その時、またしても冷ややかな視線がなずなから送られていることに気付き、ハッとさせられる。

また…!

また俺をそんな冷たい目で…!

ガーン!傷付いた!

もう、泣けてくる…!



「…それは、こっちが聞きたいよ。宮内さん?」

「………」

「…どうせ、伶士の気を引こうとでもしたんだろ」



そのセリフを吐いたその瞬間。

薫の目がカッと見開いた。



え?…俺の?



「って、ちょっ!ちょ、ちょ、ちょっと待てちょっと待てなずなさん!」

「…はぁ?芸人のネタか?ならサングラスでもつけろや!」

「ちっ、違っ!…そうじゃねえ!」



ああぁぁっ!今度は怒られた!

ではなく、このざわざわとした胸の感覚、どう処理したらいいんだ!



薫が…俺の気を引く?

んなこと、あるワケねえだろ!

だって!…俺、フラれてんだよ?



「…てなわけで。伶士もザワザワしてきたところで」



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