俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
その薫は…もう、怒りのオーラに包まれているのがわかる。

握った拳は更にカタカタと震えて。

なずなを睨み付ける視線も、鋭さを増していた。

…もう、般若のようだ!



「…あんたの勝手な心情で、守護霊さんや悪霊を振り回してもらっても困るな?守護霊さんを困らせることは、お母さんが許しても、陰陽師であるこの私が許すワケにはいかない」

「………」

「…どうせ、陰陽師なんてインチキだと思ってたんだろ?霊的現象もどうせインチキだから、テキトーに騒げばテキトーにお祓いしてもらえるって、簡単に考えてたろ。そうだとますます許されないワケで…?」



ここ一番、なずなの悪そうな不敵な笑みが薫に向けられる。



「さあ…楽しい言い訳聞かせてもらおうか?」

「い、言い訳…」

「…一層のこと、隠し通すか?クックッ…」



ニヤリと、その笑みには威圧感があり。



「…どうせ、実は全部真っ黒だろうけど?」

「くっ…!」



バチバチと睨み合う二人。

沈黙の戦いがまさに始まろうとしていた。



それを傍観する俺…。

ハラハラする以外に、やること見つからない。



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