俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
頭を捻らせ、その記憶を必死に掘り起こす。



おじさんの娘…。



記憶にあるのは、おじさんがウチに遊びに来ていて。

それを奥さんと娘が迎えに来ていた。



二人でウチに入るなり、娘はおじさんの方へまっしぐらに走っていく。



『…Dad!…Dad!』


日本語じゃない、英語だ。

娘の突進に、おじさんも手を拡げて迎える。


『おぉっ!…Hey! Lira!』

『Dad!…loveyou! loveyou!』

『Me,too! loveyou!』


二人で抱き合い、キスの嵐。

日本では見られないキスの文化に圧倒され、五歳ながらに呆然としていたのを覚えている。



『…違う。名前はリラだ。なずなじゃない』



そうだ。

確か、俺も話をしたことがある。

リラは日本語が話せない。

母さんが日本語が上手ではなく、おじさんしか教えてあげられないのだという。

家の中は、専ら英語だそうだ。



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