俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
《ぐっ…》



今の渾身の一撃で、悲鳴をあげる間もなく魔族は遠くに吹っ飛ばされる。

少しゴロゴロと転がって、地に這いつくばされていた。



強い…圧倒的な強さ。

まるで、殺人兵器だ!

神の力のおかげとはいえ、リアルにこの人と手合わせしたくない。



《お、おのれ…神力を使う人間、『神童』か!》



魔族がよろめきながらも、体を起こしている。

もう限界なのか、身体中がプルプルと震えていた。



「…生憎、俺は『神童』じゃない。そんな神童の騎士?だ」



そう言いながら、右手の拳を引いて構えている。

拳に、光が徐々に吸い込まれるように集まってきていた。





「…そういや、さっき言ってたよな?『何故人間は、悋気の炎を絶やさぬのか?』って?」



何かを思い出したのか、一人でははっと笑っている。



「嫉妬心、か…」



呟いた一言に、ギクッとさせられる。

そのワード、今の俺にはとても痛いもので…。



すると、独り言のようにブツブツと早口で語り出す。



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