俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
暴走すら、するんだろうな。
(………)
…警告されたにも関わらず。
『一緒にいたい』ただそれだけで、ノコノコと着いてきたことを、しばし後悔する。
だって、こいつ。
足手まといだろうが、俺が危険な目に合えば、絶対護ってくれるだろうから。
自分のことなんて、省みずに。
(くそっ…)
《やかましい、このヘタレ!》
《生半可な気持ちであの子に近付くんじゃないよ!》
今さら…引き下がれるか!
地下への階段を前にすると、なずなは顔を歪める。
「…やっぱり」
そう呟くその隣に立って、地下への階段を見下ろす。
(…え?)
しかし、そこで俺にも違和感というやつを感じたのは言うまでもない。
目には何も見えないんだけど。
階段の奥から、何か…何かが漂っているような気がする。
それは、渦巻いて捩れて…肌にまとわりつかんとばかりに不快な感覚をもたらす。
「…結界から、魔力が漏れてるんだ」
「魔力が漏れる?」
「結界が下手すぎて、ガタついている。穴空いてんだよ。ガサいから。イメージ的には穴の開いたテントで焼き肉してて、そこから煙が漏れる感じ」
「へぇ…」