俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

「…ここだ」



…俺も、なぜかそう思った。

このドアから、何か…嫌な感じがするものが出ている。ような、気がする。

何でわかるんだろう。



なずなはそこで、自分のリュックを上げて手を入れている。



「…伶士」



そして、差し出したのは…おてもと。

あの、いつかの袋に入った割り箸だった。

お手製の簡易結界というやつ。

しかも、三本。



「…は?」

「これ、持ってて。中に何があるかわからない」

「…うん」



いつも思うけど、何で割り箸なんだ。



だなんて思いながらも、受け取る。

そして、コートの前を開け、制服のブレザーの内ポケットに押し込むように入れた。

…これ、前にも持ってたヤツあったんだけど、チカが箸忘れた騒いでた時にあげてしまった。

今考えたら、よかったんだろうか。



そんなことを考えていると、階段の方から…人の気配がしてきた。

話し声、足音。



誰か来る…!



しかし、なずなはその場から離れる様子はなく。

むしろ、その方向に体を向けていた。

…まるで、迎え撃つような。


< 419 / 503 >

この作品をシェア

pagetop