俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「…ここだ」
…俺も、なぜかそう思った。
このドアから、何か…嫌な感じがするものが出ている。ような、気がする。
何でわかるんだろう。
なずなはそこで、自分のリュックを上げて手を入れている。
「…伶士」
そして、差し出したのは…おてもと。
あの、いつかの袋に入った割り箸だった。
お手製の簡易結界というやつ。
しかも、三本。
「…は?」
「これ、持ってて。中に何があるかわからない」
「…うん」
いつも思うけど、何で割り箸なんだ。
だなんて思いながらも、受け取る。
そして、コートの前を開け、制服のブレザーの内ポケットに押し込むように入れた。
…これ、前にも持ってたヤツあったんだけど、チカが箸忘れた騒いでた時にあげてしまった。
今考えたら、よかったんだろうか。
そんなことを考えていると、階段の方から…人の気配がしてきた。
話し声、足音。
誰か来る…!
しかし、なずなはその場から離れる様子はなく。
むしろ、その方向に体を向けていた。
…まるで、迎え撃つような。