一途な恋とバックハグ
彼女のマンションに着き離れ難くて手が離せない。
告白されて舞い上がってそのまま彼女の家になだれ込む…なんてことは、してはいけないような気がして戸惑う。
しかしこのまま別れてしまうのは寂しい。

思い切っておじゃましてもいいか聞いてみれば即OKで、初めて訪れた笹川の家は女の子らしいワンルームマンション。
可愛い雑貨やぬいぐるみと共に否応なく目に入るベッドに目を逸らし背を預けるように座った。
コーヒーを入れてくれた笹川が小さなテーブルを挟み前に座る。
緊張気味の笹川にこっちも畏まってしまう。
一口コーヒーを飲み一息ついて話を切り出した。

「それで…俺たちこれから付き合う…でいいよな?」

「は、はい!もちろん」

「そんな、固くならないでくれよ」

びくっと肩を揺らして答える笹川に苦笑いが零れる。

「あ、あのどうしていいか…緊張して…」

目を泳がす笹川に俺はテーブルをずらし手を広げた。

「おいで」

初めオロオロととしていた笹川は意を決したように近づいてくる。
手を伸ばし彼女を引き寄せると背中から抱きしめた。
このバックハグに味を占めてしまったようだ、すごく居心地がいい。
すっぽり収まる彼女の身体は柔らかくていい匂いがする。
真っ赤な耳に頬ずりして囁いた。

「今日から俺の彼女だ、すみれ」

「!?○×△*☆#」

言葉にならない声が聞こえたが構わず耳にキスをして頬ずりをする。
相変わらず固まってる彼女をこちらに振り向かせ顎に指を添えた。

「あ、あの!」

「…なんだ」

いい所だというのに口元に両手を当て阻止してきたすみれについムッとした顔をする。

「あ、あの、課長は、私の事、好きなんですか?」

「…」

思いもしない質問に一瞬固まった。
好きだから、付き合うことになったんじゃないか?

「課長から…好きって聞いてないので…付き合うってどういう事かなと…」

おずおずと、申し訳なさそうな顔して聞いてくるから思わず笑った。
その上目使いが男を煽ってるって気付かないのか?

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