3分遅れのアンダンテ


願えど願えど、電車は一向に動く気配がない。



なんでも突然煙が出たらしく、点検だなんだと復旧までに時間がかかっているらしい。



刻一刻と時間は過ぎていく。



時間は止まってくれない。



祈先輩のいる駅はあと数分で着くというのに。



──約束の午後3時まであと5分。



「ご乗車されている皆様、大変お待たせ致しました。安全確認が出来ましたのでただいまより運転を再開致します。揺れますので手すり等にしっかりお掴まり下さい」



やっと、やっと動いた。



時間はギリギリ。



下車したら、すぐに向かえばきっと……



プレゼントが入った袋を握る強さがきゅっと強くなる。



先輩、祈先輩。



最後に会いたいです。



さよならを言いたいです。


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