もう誰かを愛せはしない
そんな気持ちを抱きながら礼羽と毎日一緒にいて

屋上から見える景色が好きだと思うようになった。




毎日顔を変える空
毎日吹き方の違う風
生徒の声に季節の匂い



そして何より、屋上にいる時は必ず2人きりだったから…







「ライハ、明日誕生日だね」

「あー…そうだっけ?」



今日も礼羽と屋上で寝そべっていた。


私達の上をふわふわと雲が流れていく。




「もう。何で男って誕生日とか記念日とかに疎いのかしら」

「女が細かすぎんだよ」



礼羽は頭を掻くと寝返りを打った。



礼羽の無造作にセットされた黒い髪が風に靡いている。

その髪に触れた。




「くすぐったいからやめろ」

「やだ。ライハの髪、触り心地がいいんだもん」

「やめろって」



礼羽の髪を触り続けていると、髪を触っていた腕を掴まれ引っ張られた。


礼羽の胸に顔が埋もれる。
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