【完結】私に甘い眼鏡くん
修学旅行も半分が終わった。
三日目の今日はクラス行動。みんなが待ち望んだ海に行く日だ。
あの時恋人の聖地と名高い古宇利島を提案した彼の心境は今もなお理解できないが、夕くんと一緒にそんな場所へ行くことができるのはとても楽しみだった。
伊藤さんと良い感じなのではないかという懸念が杞憂であってよかったと心から思う。
長い長い橋を渡るバス。一面真っ青な海とは対照的な白い砂浜が向かっている方向に見えた。
私の隣に座るなっちゃんは感嘆の声を上げる。
「ね、彩、あれが例の『幸せの鐘』かな!」
「それっぽい! 鳴らしたいな~」
なっちゃんと一緒に。あわよくば夕くんとも。下心が隠しきれなかったのか、なっちゃんはふふふと笑った。
「先生にさ、写真も撮ってもらおうね。四人もいいけど、私たちのツーショットも!」
大きく頷いた。恋も友情も大事にしてくれる、安心と信頼のなっちゃんだった。
鐘のある展望台はミュージアムの最上階にあった。
私たちは四人で色とりどりに輝く貝殻を眺め、売店を軽く見てから展望台に向かう。お土産はまた後で。
「結構長いな、この階段」
「運動してないからひ弱なんだろ」
「脳筋よりはましだ」
「端的な罵倒やめろ!」
「もうすぐ着くよ!」
「私一番のりー!」
一段飛ばしで軽快に階段を上ったなっちゃんが扉を開けると、そこには一人も生徒はいなかった。
「ラッキー、本当に一番じゃん!」
「みんなもう売店でお土産買ってるのかな」
「お、お前たち早いな」
「なんだよ先生が一番か」
「まあまあ、それより先生、私たちの写真撮って!」
「はいよ」
腕を引かれて鐘の前へ。
「私たちが幸せになれますように!」
「なれますように!」
彼女と一緒に鐘を鳴らし、先生が構えるなっちゃんのスマホに向かってはにかむ。
撮れると今度は待機していた男子二人を呼び、今度は4人で一枚。
その後私と夕くんは自主的に抜け、なっちゃんと太一で鐘を鳴らす。
カメラ目線で笑うなっちゃんは可愛くて、その太一のなっちゃんを見るまなざしは愛し気だった。
「‥‥‥春川もあんな顔するんだな」
「なっちゃんのこと大好きだよね。あーホントに二人が付き合ってよかった」
少なくとも、私に告白してたのなんてきっと気の迷いだ。
ずっと一緒の女の子をあんなに優しく見つめる人が、そうそう他の女子など好きになれるはずがない。
「最近まで、春川と彩が付き合ってるのかと思ってた。否定されたけど信じられなかったから、思い過ごしで良かった」
「え?」
そう聞き返した瞬間に、なっちゃんが彩たちの番だからおいでと手招きする。
私と夕くんは鐘の紐を手に取り、何も言わずに揺らした。
ずっと一緒にいられますように。
声に出すのは恥ずかしいけど、精一杯の気持ちを込めた。
先生が撮ってくれた写真はとても上手に撮れていて、上手ですねと言うと写真が趣味なんだと言われる。
「ま、被写体は愛娘ばっかりだけどな」
そういえば先生って小さなお子さんがいたっけ。今日の夜には忘れてそうな情報だと思いつつ私たちはお礼を言ってまた階段を下りた。
クラスメイトとすれ違うたびに冷やかされ苦笑する。
とりあえず、展望台が混む前に行けてよかった。
なっちゃんがすぐに送ってくれた4人の写真を待ち受けに設定しながらそう思った。
「そういえば夕くん、さっきなんてお願いしたの?」
「‥‥‥内緒。そういうの、言うと叶わなくなるっていうから」
「え、じゃあ私と彩は幸せになれないってこと!?」
大騒ぎの彼女を太一が宥めている。
夕くんも私と同じ願いだったらいいのにな。
私と夕くんのツーショットを見ると、なんだか少しだけ恥ずかしい。
むず痒い気持ちをやり過ごし、そっとお気に入りのマークを付けた。
三日目の今日はクラス行動。みんなが待ち望んだ海に行く日だ。
あの時恋人の聖地と名高い古宇利島を提案した彼の心境は今もなお理解できないが、夕くんと一緒にそんな場所へ行くことができるのはとても楽しみだった。
伊藤さんと良い感じなのではないかという懸念が杞憂であってよかったと心から思う。
長い長い橋を渡るバス。一面真っ青な海とは対照的な白い砂浜が向かっている方向に見えた。
私の隣に座るなっちゃんは感嘆の声を上げる。
「ね、彩、あれが例の『幸せの鐘』かな!」
「それっぽい! 鳴らしたいな~」
なっちゃんと一緒に。あわよくば夕くんとも。下心が隠しきれなかったのか、なっちゃんはふふふと笑った。
「先生にさ、写真も撮ってもらおうね。四人もいいけど、私たちのツーショットも!」
大きく頷いた。恋も友情も大事にしてくれる、安心と信頼のなっちゃんだった。
鐘のある展望台はミュージアムの最上階にあった。
私たちは四人で色とりどりに輝く貝殻を眺め、売店を軽く見てから展望台に向かう。お土産はまた後で。
「結構長いな、この階段」
「運動してないからひ弱なんだろ」
「脳筋よりはましだ」
「端的な罵倒やめろ!」
「もうすぐ着くよ!」
「私一番のりー!」
一段飛ばしで軽快に階段を上ったなっちゃんが扉を開けると、そこには一人も生徒はいなかった。
「ラッキー、本当に一番じゃん!」
「みんなもう売店でお土産買ってるのかな」
「お、お前たち早いな」
「なんだよ先生が一番か」
「まあまあ、それより先生、私たちの写真撮って!」
「はいよ」
腕を引かれて鐘の前へ。
「私たちが幸せになれますように!」
「なれますように!」
彼女と一緒に鐘を鳴らし、先生が構えるなっちゃんのスマホに向かってはにかむ。
撮れると今度は待機していた男子二人を呼び、今度は4人で一枚。
その後私と夕くんは自主的に抜け、なっちゃんと太一で鐘を鳴らす。
カメラ目線で笑うなっちゃんは可愛くて、その太一のなっちゃんを見るまなざしは愛し気だった。
「‥‥‥春川もあんな顔するんだな」
「なっちゃんのこと大好きだよね。あーホントに二人が付き合ってよかった」
少なくとも、私に告白してたのなんてきっと気の迷いだ。
ずっと一緒の女の子をあんなに優しく見つめる人が、そうそう他の女子など好きになれるはずがない。
「最近まで、春川と彩が付き合ってるのかと思ってた。否定されたけど信じられなかったから、思い過ごしで良かった」
「え?」
そう聞き返した瞬間に、なっちゃんが彩たちの番だからおいでと手招きする。
私と夕くんは鐘の紐を手に取り、何も言わずに揺らした。
ずっと一緒にいられますように。
声に出すのは恥ずかしいけど、精一杯の気持ちを込めた。
先生が撮ってくれた写真はとても上手に撮れていて、上手ですねと言うと写真が趣味なんだと言われる。
「ま、被写体は愛娘ばっかりだけどな」
そういえば先生って小さなお子さんがいたっけ。今日の夜には忘れてそうな情報だと思いつつ私たちはお礼を言ってまた階段を下りた。
クラスメイトとすれ違うたびに冷やかされ苦笑する。
とりあえず、展望台が混む前に行けてよかった。
なっちゃんがすぐに送ってくれた4人の写真を待ち受けに設定しながらそう思った。
「そういえば夕くん、さっきなんてお願いしたの?」
「‥‥‥内緒。そういうの、言うと叶わなくなるっていうから」
「え、じゃあ私と彩は幸せになれないってこと!?」
大騒ぎの彼女を太一が宥めている。
夕くんも私と同じ願いだったらいいのにな。
私と夕くんのツーショットを見ると、なんだか少しだけ恥ずかしい。
むず痒い気持ちをやり過ごし、そっとお気に入りのマークを付けた。