Magic Love Sea〜俺がお前のこと、攫ってやるよ〜
びくりとミラは肩を震わせ、声のした方を見る。ディートフリートたちもカフェの入り口のあたりを見た。そこには、海軍の制服を着こなした男性が立っている。

「ヘンリー様……」

ミラがそう震える声で言うと、「ミラ怖かっただろう?すぐに家に帰ろう」とディートフリートたちに向ける顔とは違い優しげな顔になる。そして、ミラの返事も待たずにミラを抱き寄せた。その様子にディートフリートはこの男性がミラの婚約者であると察する。

「おい、俺はミラに街を案内してもらっているんだ」

ディートフリートがそう言うと、「そんなもの知るか。海賊は海でのたれ死んでしまえ」とヘンリーは冷たい目のまま言った。

「……」

ディートフリートはヘンリーが背を向けた瞬間に羊皮紙にメモをしてミラの手にそっと渡す。

「ま、た、あ、い、た、い」

振り返ったミラに口パクでディートフリートが言うと、ミラは嬉しそうな顔をした。

「何だか怪しい男ね……。それにしてもミラとっても可愛い!妹にしたい!」
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