【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由
「金里さん、ここ。ちょっといいかな」
彼女から受け取った資料をすぐに目を通し、外回りに行く前に声かけた。
話す口実を作るのは朝飯前だ。
「ここなんだけど」と資料を持ってデスクの彼女に近づくと。
「うんうん」と真剣に取り合ってくれる、可愛らしい横顔。
書類の文字を追う長い睫毛。柔らかそうな頬に。潤った唇。
よく周囲からはクールとか無表情とか言われるが、その仮面の下で、いつも彼女のことを熱く見つめる。
「あぁ、ほんとだ、ここちょっとおかしいね。自分じゃ気づかなかった」
しかし、そんな僕の思いには気づくこともなく、無垢な笑顔をこちらに向ける。