あやかしの集う夢の中で
「この動画に映っているオレは、夢の世界に入り込んでいるオレだ。

夢の世界では髪の色が自分の属性を現している。

ちなみに青色の髪の属性は風だ」



時宗の口からマンガみたいな設定が出てくる度に、桜介の心の中にあるオタクな部分が少しずつうずき出していた。



時宗の属性が風ならば、自分の属性は何だろう?



桜介はそんなことを考えるといても立ってもいられずに、黒縁の丸メガネをかけて動画を見ている愛理の顔をのぞき込んだ。



「なぁ、愛理。

オレにもそのメガネを貸してくれよ。

オレも夢妖怪を見たいんだ」



「ダメだよ、今、いいとこなんだから」



「そんなこと言わないでさぁ、愛理しゃん……」



「甘えてもダメだよ。

桜介が甘えても、少しもかわいくないんだからね」



相変わらず手厳しい愛理の言葉に桜介はたじたじになりながら、愛理が動画に飽きて黒縁の丸メガネを外すのを待っていた。



一ノ瀬中学のナンバーワン美少女と言われている愛理も、自分にとっては気が強くて男勝りなただの幼なじみだ。



愛理と仲が良いことをクラスの男子にうらやましがられるけど、自分は愛理に女性をあまり感じない。



愛理がキレイなのは間違いないが、自分の中で愛理は友達のカテゴリーの中にきっちりと入っていた。
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