あやかしの集う夢の中で
「これが夢妖怪かぁ。

もしかしたらこんなヤツらが舞ちゃんの夢の中にも……」



黒縁の丸メガネをかけた桜介はようやく夢妖怪の姿を確認できた。



夢妖怪の肌の色は赤や緑や紺色で、目が一つのヤツ、二つのヤツ、三つのヤツといろいろある。



そんな夢妖怪の姿は小さい頃に絵本で見た鬼の姿に似ていた。



桜介はこんなにも恐ろしい姿をしている夢妖怪たちとまともに戦って勝てるのだろうかと不安になった。



そしてそれと同時にこんなにも恐ろしい見た目をしている敵をバッサバッサと斬っていく時宗のカッコ良さに嫉妬していた。



時宗にはキラキラした才能がびっしりと詰まっている。



桜介は時宗を知れば知るほど、自分と時宗の違いに気づかずにはいられなかった。



「時宗君に質問があります!」



カノンがそう言って、かわいらしく右手を上げた。



それを見ていた桜介はカノンのちょっとした仕草ってかわいいなぁと、ぼんやりと思っていた。
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