あやかしの集う夢の中で
「どうして時宗君はこんなにも強そうな夢妖怪たちを次々と倒せるんですか?

もしかして時宗君はむちゃくちゃに強いんですか?」



カノンの質問は無邪気で少しの悪意もない。



カノンが何かを話す度に癒しを感じるのはきっと桜介だけではないだろう。



普通の男子生徒ならば、カノンの癒し系の力にメロメロになってしまいそうな場面なのに、時宗はクールな表情を少しも崩さずに穏やかな声でこう答えた。



「夢の世界は独特だ。

現実世界での強さがそのまま夢の世界での強さに繋がっているわけではない。

夢の世界では思いの強い者、想像力のある者、自分の力を信じきれる者が最強になれるんだ。

だからオレは夢の世界で無双の力を持っている。

妖怪バスターの末裔であるオレは自分が最強であることを当たり前のことと思っている」



「何を……。

ぐぬぬっ……」



桜介はさらりと最強を口にした時宗の自信に歯ぎしりするような悔しさを覚えて、拳を強く握りしめた。



ザ平凡という立ち位置とキャラクターを受け入れてしまっている自分とはちがうイケメンに、なぜだか桜介は強いライバル心を抱いていた。
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