あやかしの集う夢の中で
「ということは、時宗君は夢の世界で最強なんですね。

時宗君はものすごくカッコいいです！」



カノンが目を輝かせながら、時宗にそう言った。



カノンは人の話を疑ったり、否定したりすることが決してない。



そこはカノンの長所でもあり短所でもあると桜介は思っていた。



でも愛理はカノンみたいに時宗の話を簡単には納得せず、時宗が口にした夢のような突拍子もない話に懐疑的な言葉を投げかけた。



「時宗君の話が本当だなんて思えないよ。

この夢妖怪の動画だって、どこかで誰かが作ったものかもしれないじゃん。

それに夢の世界に入り込めるっていうのも、信じられない話だし」



愛理の言葉は柔らかい優しさに包まれながらも話の本質をついてくる。



そんな愛理の言葉は聞いている人の関心を引きつけるし、愛理の美少女ぶりを引き立てているようにすら感じる。



自分は愛理を女性としては見ていないけど、他の男子生徒たちは、愛理のパッチリとしたキレイな目で見つめられて話されると、胸がドキドキするのだろうと桜介は思っていた。



そしてそれと同時にイケメンや美女たちはそれだけで得をしていることに不公平を感じ、極めて平凡なルックスの自分に桜介はがっかりせずにはいられなかった。
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