青は奇跡
なんだろう。
何かがある気がする。
……帰りたくない?
わたしもずっと燦といられるならいたい。
燦の目がいつもと違う輝き方だ。
生命力に溢れる、というよりは艶めかしい瞳で、吸い込まれてしまいそうな漆黒という感じだ。
「……あー、いや、まだだよな。
ごめんな、千鶴。
俺の気持ちを押し付けようとして。
……帰ろう」
「え?……う、うん」
隣を歩く燦は、もういつも通りだった。
わたしの歩調に合わせてくれるし、車道の方を歩いてくれる。
だけど横顔がほんの少し赤く染まっていた。
「あ、ちょっと待って」
どうしたの?と言うことさえ出来なかった。
……あれ、わたし、燦に……。
すっと顔を離すと燦の目は三日月の形になっていた。
「さっきのお返し」
「……」
「どきどきしただろ?」