青は奇跡
必要な書類をかき集めて慌ただしく先生が出て行ってしまうと、再び沈黙が訪れた。
……何から話せばいいんだろう。
理由なんて分かるのだろうか。
「なあ千鶴」
「なに?」
「俺、今日どんな感じだった?」
「……えっと、それは、どういう意味?」
「あ、俺が廊下で倒れた時」
なるほどね、と思いつつも返答に困った。
音がして振り向いたらもう燦が倒れていたから、倒れる寸前の様子は分からない。
だけど、やけに苦しそうな顔だった。
何かの痛みに耐えているかのような印象すら抱いた。
「……燦、ごめんね。
倒れる瞬間は見ていなかった。
音がして、振り向いたら燦が倒れていて、わたし……」
「なんで千鶴が謝るんだよ。
倒れた俺が悪いんだから」
「だって、気付けなかったから」
「誰も予想出来ねえよ、人が倒れることなんて。
でも、本当にごめんな。
びっくりさせたな」
燦の方が痛くて苦しいはずなのに、わたしの頭を撫でて落ち着かせてくれる。
お母さんが小さな子供をあやすように優しく頭に触れている。
それが恥ずかしいような嬉しいような、だけど申し訳なさが込み上げてくる。