青は奇跡
平日ということもあって、お客さんはわたしたち以外にほとんどいなかったから好きなだけ見ることが出来た。
絵画として残された空は、写真とはまた違う美しさで、ずっと見ていたいくらいだった。
思わず朝焼けの絵の前で立ち止まると、燦も立ち止まった。
「……」
「ん?」
「……なんか、朝焼けなのに、懐かしい」
「惹き込まれるよな」
「……不思議」
だけどなんで懐かしいのかはよく分からない。
作者の名前は美術にそれほど詳しくないわたしにとっては初めて聞くもので、懐かしさとは程遠いはずだ。
使われている色が記憶の中にあるものなのか。
この不思議な朝焼けの絵が気になりつつも、他の絵も見たかったので留まるのはそこそこに次の部屋に入った。
全ての絵を見終えて外に出ると、空はすっかり深い青に染め上げられていた。
「綺麗だったな」
「ありがとう、すごく良かった」
「俺が美術館にいるって変な感じ」
「そうかな」
「美術館とかよく行く方じゃないから」
「わたしもそんなに頻繁には行かないけど、今日の展示は本当に良かった」
「なら良かったわ」