青は奇跡
「……う」
肩を叩かれ、はっと気づく。
しまった、ホームルームも上の空になるくらいに考え事に没頭し過ぎた。
「え?
……あ、ごめん。何?」
「帰ろう、千鶴」
「そう、だね」
「俺も用意するから」
わたしの机から立ち去ろうとする燦の制服の裾をとっさに引いた。
一瞬傾きかけた燦を見て、何をしているんだろうと我に返った。
「うわっ、びっくりした」
「……あ、あのさ」
「うん?」
「体調、大丈夫なの……」
「は?」
「何でもない、本当、ごめんね。
か、帰ろう」
「分かったけど……」
ちょっと今のは燦にとっては不自然極まりないものだったかもしれない。
校内で燦の秘密を知っているのは、きっと保健室の先生と担任の先生くらいということになっているのだろう。
だけど今朝、例外が発生した。
それはわたし以外の誰も知りえないだろう。
「お待たせ、行こう」