青は奇跡
「やる」
思わず顔を見上げた。
「だから、やる」
「え……」
「いつものことだろ」
「いや、いつもいつもくれるから……」
「あ?お礼しちゃいけないのかよ」
「そういうわけじゃないよ、ありがとう、すごく嬉しい」
なんでだろう。
早口になって言葉がまとまらないのに、矢継ぎ早に言いたくなる。
伝えたいのだ。
「だけど、いつも貰ってばっかりでいいのかなって……」
わたしは何も与えていないのに。
「……じゃ、言い方変える。
これはカテキョ代。お前の、藤野のバイト代。
ならいいだろ?」
「……バイト代」
「いちいち気にすんなよ」
「……ありがとう」
教室を出ると、顔が熱かった。
ついでに心臓がうるさい。
痛いけれど、嫌じゃない。
心地よくて、ずっとこのままでもいいくらい。
家に帰ってもどこか上の空で家事も勉強も身が入らなかった。