青は奇跡








さっき止んだ雨がまた降り出しそうな空を見ていると、電話をかけないといけないことを思い出した。




いつも繋がらないので留守番電話のサービスを利用して連絡事項を伝えている。


わたしにとって電話が繋がらないことは決して残念なことではなく、むしろ嬉しいくらいだ。




彼は仲の良い友人に対してはよく笑うけれど、わたしに向ける顔にはよそゆきの笑顔が貼り付いている、そういうところが苦手なのだ。





「もしもし、藤野です。

先生から電話するように言われたんだけど出ないみたいだから今日も留守電……」


「え?出てるんだけど」





…は?


出てるって、夏川くんが?


いやだっていつも出ないのになんで今日に限って。





「用事あって電話くれたんだろ?

用件続けろよ、いつもみたいに」


「あ、ええと、きょ、今日のことで連絡があって…」


「留守電じゃないって分かった途端に緊張し過ぎじゃね?」





ああだめだ。飲まれてしまった。


おまけに電話だと直接話す以上に怖い。


相手の顔が見えないことは、あまり得意な状況ではない。


動揺を隠そうとしても全然上手くいかない。




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