愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~
「あと、ここがきみの部屋になる。荷物は搬入してあるからあとで確認しておいてくれ」
名護さんがそう視線で示す先にあるのは、二階手前の茶色いドア。
「あれ……部屋は別々なんですか?」
「もちろん。一緒のほうがよかったか」
「え!?あっいや、そういうわけじゃないんですけど!夫婦ですし!そう思っていただけで!」
なにげなくたずねてしまったけれど、まるでそうなることを期待していたように聞こえてしまったかも!
恥ずかしさから慌てて否定する私に、名護さんはやはり表情を変えることなく「そうか」と頷いた。
そうだよね、夫婦になるとはいえプライバシーは必要だし、寝室は別だよね……。
それはちょっとよかった、かも。
安堵しながら一階に戻り、廊下突き当たりの部屋に入る。
そこは茶色い大きなソファとローテーブルが置かれた広々としたリビングだ。
床のフローリングと天井の木目は明るい木目で揃えられており、目の前の障子からは太陽の光が透けている。
彼がそっと障子を開けると、目の前には真っ白な石畳と池、形のいい木々で造られた日本庭園が広がっていた。
「わぁ……綺麗」
思わず声に出してから、隣に立つ彼を見上げる。