愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~



「素敵なお家ですね。でもご家族と住んでたにしては新しい気も……」

「昨年だったか、建て直ししたんだ。これまでの家は親の好みで少し不便だったからな」



だから全体的に真新しいわけだ。

でも少し不便というだけで建て直ししてしまうあたり……お金持ちの発想だ。



「この隣がダイニング、奥にキッチンがある。基本的に好きに使ってもらってかまわないし、必要なものがあれば仲居の中に何名かハウスキーパー兼任の者がいるからその人に頼むように」



あぁ、どうりで綺麗だと思ったら何人かの仲居さんが家のこともしているんだ。

綺麗に整った室内を見ると、そうだよねと納得できた。



「あ、じゃあ掃除とか洗濯とか、家のこともその人に聞けば大丈夫ですね」

「あぁ、と言っても今後も家のことは全てその者たちがやるが」



その人たちがやる……って、ことは?



「えっ、じゃあ私はなにをすれば?」

「なにもしなくていい」



私の問いに、名護さんははっきりと答える。



「なにもって……料理も洗濯も掃除もですか!?じゃあなにを……はっ、夜のお相手だけってことですか!?」

「それもいらない」



頬を赤らめた私の発言に、名護さんはまたもはっきりと拒否をした。



あ……そうですか。

求められても確かに困るけれど、『いらない』ってはっきり言われるのもちょっと悲しい。



でも、なにもしなくていいなんて……。本当にいいのだろうか。

私仕事もしていないから専業主婦になるのに。



家事は得意だし、やる気も満々だった。

それだけにまさかのことに戸惑いながら納得できずにいる私を見て、名護さんはリビングの窓をそっと開ける。

網戸からはふわりと爽やかな風が舞い込んだ。


  
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