愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~
「それって、妻としていいんでしょうか」
「別にお互い好きで結婚したわけじゃない。なら普段から夫婦らしく努める必要はないだろ」
確かにそうだけど……。
眉ひとつ動かさず言ってみせる彼は、その見た目通り中身もクールというかドライみたいだ。
冷たくも感じるけれど、説得力があり納得できてしまう。
「でもそれならなにか仕事とかしたいです。さすがに経営とかのことはわからないですけど……そうだ、仲居さんの仕事とか!」
「してもいいけど、周りが気をつかうと思うぞ」
確かに……。
私はよくても、他の仲居さんからすれば副社長の嫁が一緒に働くなんてやりづらいだろう。
ここまでくる途中も見た感じこの近辺で働くようなところもなさそうだし。
……つまり、家事も働きもせず毎日ここで好きに過ごしていればいい、ということ。
そんな生活で本当にいいんだろうか。
せめて私に会社経営のノウハウがあればまた違ったかもしれないのに……!
「あの、結婚相手をこんな形で決めてよかったんですか?」
いくら親が決めた結婚とはいえ、会社を手伝える人とか、もっといい相手を選ぶこともできたんじゃないだろうか。
そんな不安からたずねると、彼は淡々と答える。
「別に。結婚願望もなかったし、親が世間体を気にするから結婚することにしただけだ。相手なんて人間ならなんでもいい」
「許容範囲広すぎません!?」
人間ならって!それはそれで複雑!